Jan 24 2013
バルトの仕事の中でも頻繁に議論されるのが、『物語の構造分析』に収録されている「作者の死」である。本稿でバルトは、現代においても、大きな支配的な概念となっている「作者」という概念に疑問を投げかける。私たちは、ふつうある芸術作品を鑑賞する時、その作品の説明をその作品を生み出した作者に求めがちである。これは、つまり作品を鑑賞するということは、作者の意図を正確に理解することであるという発想である。このことから、例えばボードレールの作品はボードレールという人間の挫折のことであり、ヴァン・ゴッホの作品とは彼の狂気であるという発想が導き出せる。この発想をバルトは、打ち明け話であるとして批判する。このように作者=神という発想ではなく、作品とは様々なものが引用された織物のような物であり、それを解くのは読者であるとして、芸術作品に対してこれまで受動的なイメージしかなかった受信者の側の創造的な側面を本稿で強調した。この概念は、後年のバルトの作品でもよく言及されており、例えば『テクストの快楽』においても、この概念についての論考が見られる(『テクストの快楽』p120)
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